走ることについて語るときに僕の語る事/村上春樹

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

■規律がもたらす日常からの飛躍について
大学時代の恩師がおっしゃっていた事なんですが、人間はあまりに自由な環境下で生きていると苦しくなってしまうそうです。「自由」という言葉には開放感が溢れていますが、その反面、何をしていいのかわからなくなり、途方に暮れてしまいます。だから、人は豊かな人生を送る為には規律が必要なのです。

この本を通じて、村上さんが最も伝えたかったのは「規律」に関係する事なんじゃないかな、と僕は思っています。

走るペースを掴む事は小説を書くペースを掴む事と同じ事だ。

村上さんはこの本の中で書いています。ジョギングを習慣としている人なら分かると思うのですが、長距離を走れるようになる為には規律を作り、それを守る事が非常に重要です。一定の頻度、一定のペースで走り続ける事で初めて長距離を走れるだけの体力を獲得できます。村上さんは、ジョギングを通じて獲得した規律を作り、規律を守り、目標を達成するプロセスを小説づくりに応用しているんだと思います。


日常において規律を守り続ける事が、日常を飛躍して偉業を成し遂げる事につながるのでしょうか。


そういえば、サッカー元日本代表監督のイビチャ・オシムさんも「規律=ディシプリン」の重要性を説いています。